法人創設者は、日本ホーリネス教団神戸教会の牧師であった斉藤信男・溢子夫妻。
斉藤信男が高齢者施設建設のビジョンを与えられ、その実現に取り組むにあたり「趣意書」として行政に提出するために作成した文章の抜粋です。当法人の高齢者施設運営の原点となる考えです。
わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。
もし人がわたしにつながっており、またわたしがその人とつながっておれば、
その人は実を豊に結ぶようになる。
わたしから離れては、あなたがたは何一つできないからである。(聖書 ヨハネによる福音書15章5節)
老人ホーム設立の志を立ててより、十年余が経過いたしました。ホームの土地の取得は、入所定員50名で最低でも3,300㎡以前を確保しなければならないと言われ、まとまった土地を求め東奔西走いたしました。また土地が見つかりましても排水問題等で話し合いがつかず、挫折しかけたこともたびたびありました。
わたしは、神戸市灘区で児童民生委員を拝命し早11年が過ぎました。一人暮らしの高齢者、寝たきりの高齢者宅を訪問し、安否を尋ね、また色々の相談に預かっていました。都度、老人ホームを紹介したり、福祉事務所に行き相談をしたりしておりました。
そのような中、目が不自由で寝たきりの状態であった老人がいました。自分の病苦と奥さんの病気、それに家庭事情の重圧に耐えかね自らの命を絶ってしまわれたのです。
わたしには大変大きなショックでした。このような人達のために、人生最後の時を清潔な施設で、ぬくもりのある温かい介護を受けられる場としての老人ホームを、なんとか自分たちの手で建設したいという思いを、いよいよ強く持つようになった次第です。
現在保育所を経営いたしております。これは社会福祉法人設立よりずーと前からです。昭和49年に開設しました。その時の動機と言いますと、地域のニーズに応え、地域社会に奉仕するということでした。牧師をいたしております教会が母体となっています。
日本は近い将来、未曾有の高齢化社会、高齢者大国になります。老人福祉のニーズがますます高まる時、私どもはそのニーズに応えたく、老人ホームの建設を目指しております。老人福祉が抱える多くの課題、例えば、認知症の方々には安心して託していただける施設、在宅で介護をされている地域の方々には、デイサービスセンターをはじめ、入浴サービス、ショートステイそして介護相談センターなどです。これらに対応した施設づくりをしたいのです。特別養護老人ホームのみならず、ケアハウスを併設したいです。最近は、設備が華美で豪華な有料老人ホームがブームとなっておりますが、市民の大半は一般庶民で、そのような老人ホームは高嶺の花となっております。
特別養護老人ホームのそばにケアハウスを作り、比較的健康な高齢者が入居し、無農薬野菜を栽培したり、美しい花を咲かせ、庭には鶏を飼い、池があれば養殖魚もよし、その元気な高齢者が介護を要する高齢者と関わりを持つ、そのような場を考えております。施設の職員は忙しくて、なかなか話し相手になれないと聞きます。元気な老人が話し相手やボランティアとして、できる働きを負っていただく。そのような複数の施設を建設できることを夢見ています。
日本国内の施設はもとより、アメリカやヨーロッパの施設を見学し、色々学ばせていただくうちに、このような願いが起こされてきたのです。
私は、私財をなげうっても、この夢の実現を願っています。行政のご指導がなければ実現の運びとなりません。よろしくお願い申し上げます。
斉藤 信男
斉藤 溢子